EV/電気自動車(电动汽车/电动车/纯电动车)

字義としては、電力のみを使って走行する車両を指しますが、一般には搭載したバッテリーに充電された電力を使って、走行する車を指します。

それゆえ、カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)が2018年から導入するZEV規制における分類では、BEV(Battery Electric Vehicle)と呼ばれていて、FCVとともにZEVと認められており、所定の条件を満たせば、クレジット(=必要なノルマ)のカウント対象になります。2019年から実施される中国のNEVクレジット規制においても、所定の条件を満たせば、クレジットのカウント対象になります。

これまでは、一回あたりの充電で”最低限これ以上走れないと現行車の代替にならないとされる距離”をクリアできない上に、充電に時間がかかりすぎ、しかも充電可能な場所が身近にない、などと課題ばかりが指摘されてきました。
そんなEVの弱みの原因だった駆動用バッテリーの性能が日進月歩で向上したことから、満充電一回あたりの走行距離や充電時間の面での課題は解消されつつあります。今後、中国市場において、そうした新世代のEVが発売されることで、中国でのEV普及にいっそうのはずみが付く可能性があります。なぜなら、中国は今や最もEV用充電インフラが整備された国だからです。

充電インフラの充実とは対照的に、中国が官民挙げて取り組む国産駆動用バッテリーの性能向上は、どうやら思うような成果が挙がっていないようで、危機感が表面化してきています。

EVは二酸化炭素や窒素酸化物を含む環境汚染物質を走行時に排出することがないため、大気汚染に悩む中国で普及が期待されています。ただし、充電に用いる電力が、石炭や石油を使った火力発電によるものであれば、発電時点で相応の環境汚染物質を排出することになります。

EVの普及に伴って電力需要が増え、どんどん石炭発電が行われたら元も子もないというわけで、中国がどのような発電方法を強化していくのか、中国の風下にある日本にとっては他人事とは言えないように思います。

使用済みバッテリーも環境汚染につながる恐れがあるため、中国においても、回収・再利用サイクル(カスケーディング)に向けた動きが活発化してきています。

その背景には、鉛蓄電池の不法投棄の横行という過去の過ちに学んでいるという側面が大きいと考えられます。

 

低速EV/微型EV(低速电动车/微型电动车)

中国固有の車両区分です。最高速度時速30Kmに制限された軽車両で、運転免許、車両登録(ナンバー)、自賠責保険への加入などが不要といった特徴があります。内陸の農村で安価な運搬用車両として愛用された後、一部の都市部にも利用者が増えてきているといいます。

幅広く街中では通常の自動車と同様の速度が出せる、見た目には小型のSUVにしか見えないような外観(しかも結構な車重がある)を、免許がない(最低限の交通ルールと運転技能を持たない)運転者が、交通ルールを蔑ろにして運転するということで、近年、主に交通安全の視点から問題視する声が高まっています。また、使用済みとなった駆動用バッテリー(鉛蓄電池)が不法投棄されるなどして、土壌汚染などの問題を引き起こしているとも言われています。

こうした問題に対処するため、現在、工信部を中心に規範化が進められています。この数年の間、現行の自動車に近い厳格な規範化が必要と考えるグループと、現状に近い緩い規範で十分と考えるグループがあります。後者の中には、自主的に規範化を進めた“微型EV”というセグメントの確立を目指しているメーカーもあります。微型EVは、あまりにも”何でもあり”になっている低速EVとは一線を画し、一定の規範の下で製品化されたものです。微型EVメーカーは、こうした自主規制の内容に則した規範が導入されることを期待していたと思われますが、近く公布が見込まれている規範の内容は、前者の主張を色濃く組んだものになると言われています。具体的には、通常の自動車に近い安全性試験を義務づけ、車体重量や制限速度に対する制限を厳格にし、ナンバーの登録も義務づけられると言われています。

その一方で、中央政府は、実力がありそうな微型EVメーカーに対して、自動車メーカーへの転身を勧誘しています。(低速でない方の)EVを推進する中央から見て、(今なお十分ではない)EVの需要に影響を与えかねない廉価な低速EVの存在が、そうした切り崩しを図ってでもどうにかしたいものなのだとしても、客観的に見れば不思議はないでしょう。

 


FCV/燃料電池車(燃料电池车)

FCVは、外部から充電して走るEVと異なり、自ら発電しながら走ります。その発電方法として、水素を使った化学反応によって電力を発生させる燃料電池を採用していることから、燃料電池車と呼ばれます。一回の燃料充填で走行できる距離がEVよりも長く(最低限これ以上走れないと現行車の代替にならないとされる距離をクリアしている)、燃料充填に要する時間も短いこと、などから、EVよりも市場(特に国土の広い米国や中国)における市場のニーズに応えるNEV(あるいはZEV)と考える人たちも少なくありません。

中国政府はいわゆる”EV推し”で、FCVにはまったく興味を持っていないと思われている方もおられるかもしれませんが、中国でもFCVの推進に向けた取り組みは行われています。NEVを対象とした政策には、承知している限りは必ずFCVが対象に含まれていますし、燃料電池技術に関する投資も行われています。EVでなくFCV推進派も見受けられます。FCVの燃料となる水素は常温では気体で取り扱いが難しいという課題がありますが、水素を効率よく吸着するレアメタルを利用すれば課題が解決できるという、”興味深い”視点の推進論者もいます。
2018年以降のZEV規制ではZEVと認められており、所定の条件を満たせば、クレジット(=必要なノルマ)のカウント対象になります。2019年から実施される中国のNEVクレジット規制においても、所定の条件を満たせば、クレジットのカウント対象になります。

 


HV/ハイブリッド車(混合动力车)

ハイブリッド車(HV Hybrid Vehicle, HEV(Hybrid Electric Vehicle)とも) と呼ばれる所以は、(極く単純化して言えば)エンジンとモーターを両方搭載しているところにあるので、ざっくり言ってしまえば、エンジンとモーターを両方搭載している車両は、HV(と呼べないこともない)ということになります。実際のところは、ハイブリッド車には多種多様な技術があり、正しく理解することは難しいとさえ言えます。

ちなみに、日本では、(PHVやEVでなくとも)HVがエコカーの代名詞という印象ですが、海外での潮目は少し違います。外部充電によって常にバッテリーのみで走行すれば排出ガスゼロのNEVになるPHVと違って、HVはちょっと排出量が少なめのガソリン車だと分類されるようになってきています(ですので、ここでは特に断りがない限り、HVとはPHVを含まないものとしてお読みください)。米国カリフォルニア州(など10州)や中国では、HVとPHVは明確に区別されて、HVはガソリン車と同じ扱いを受けようとしています。

米国の10州は、2004年に施行されたZEV規制(Zero Emission Vehicle 規制 メーカーに一定台数の”排出ガスを出さない車両”の販売を義務づける制度)を2018年から強化するにあたり、PHVを排出ガスゼロに至る過渡段階の車(TZEV)と位置づける一方で、HVをクレジット(=必要なノルマ)のカウント対象にしない(普通のガソリン車などと同様に扱うことを決めています。
中国の場合でも、NEV( 新エネ車)の定義を中央政府のそれと合わせていて、PHVを含まないHVを新エネ車として優遇している例は姿を消しました。2019年から実施されるNEVクレジット規制においても、クレジットのカウント対象になりません。
以前から、NEVになれば購入時に公的な助成金が支給されたり、ナンバープレートの発給枠が大きかったりと優遇措置が多いのに、ほとんどガソリンを燃やして走っているPHV以外のHVをそんなに優遇するのはおかしい、という声が上がっていたりもしました(優れた国産HVを開発することが難しいという見立てに基づく政治的措置だという見方も絶えませんが)。その一方で、日系との合弁企業の工場を抱える地方などでは、別区分で優遇するなどの配慮しているケースもあります。

 



 

スプリット式ハイブリッド車(混联式混合动力车)

スプリット方式(動力分割方式)とは、エンジンの他に、エンジンと駆動と発電用に高出力モーターと発電のみに用いるモーターを搭載し、駆動と発電のための力を最も効率が高くなるように配分するハイブリッド技術です。複雑で高度な制御を要するものですが、走行中にも充電ができるため、より長い距離モーターのみで走行できるといった強みがあります。

トヨタ車に搭載されるTHS(Toyota Hybrid System)が代表例です。というか、特許の関係などもあり、当面の(それも相当の)間、トヨタ以外のメーカーが優れたスプリット式のハイブリッド車を開発することは難しいと言われています。

 

パラレル式ハイブリッド車(并联式混合动力车)

パラレル式ハイブリッド車とは、ごく単純化して説明すると、エンジンもモーターも両方搭載していて、両方とも駆動力として使用するHVのことです。エンジン走行時や制動時に発電した電力を容量の大きいバッテリーに貯めて、発進時や加速時により積極的にエンジンに加勢します。通常のガソリン車にも搭載されているセルモーターやバッテリーをより高性能なものに交換したと見ることもでき、比較的開発しやすいハイブリッド車と言われています。

トヨタ車以外のハイブリッド車の多くが、こちらに分類されます。

 

シリーズ式ハイブリッド車(串联式混合动力车)

シリーズ式ハイブリッド車とは、(こちらもごく単純化して説明すると)走行するのにモーターしか使わないHVのことです。むしろ、発電用のエンジンを積んだEVと表現した方がわかりやすいかもしれません。エンジンはバッテリーに充電(発電)するために使われ、モーターはエンジンが発電してくれた電力を使って走ります。

シリーズ式ハイブリッド車は、後述するレンジエクステンダーとは、「エンジンが発電専用」という部分は同じですが、小型のバッテリーに(エンジンで発電した電力で)充電しながら走る点で決定的に異なります。レンジエクステンダーは、外部充電機構を持ち(必然的にそれを蓄えるためにある程度)大型のバッテリーを搭載するものを指す、というのが専門家の見解です。
ちなみに、日産のe-Powerは、シリーズ・ハイブリッド方式なので、HVの一形態ですが、100%モーター走行であることからEVとして訴求しています。専門家の間では、“自家発電EV”とも呼ばれています。

 

ストロング・ハイブリッド車(强度混合动力车/强混车)

ストロング・ハイブリッド車とは、これまでの3つの分類のように構造に由来するものではなく、定義が曖曖昧です。様々なハイブリッド技術が登場する中で、本格派HVとそうでないものを区別するための表現とみられ、最低50KW程度の駆動用モーターを搭載し、モーターだけである程度走行できるHVのことを指すと考えられます。

もともとは、モーター出力が数KW~十数KW程度と低く(プリウスは53KW)、モーターのみの走行(EV走行)ができないHVと、プリウスを区別するために(トヨタが)使い始めたようですが、日産もハイブリッド車を、ストロング、マイルド、マイクロの3段階に分類しています。出力50KWのモーターを用いたフーガなどは、パラレル・ハイブリッド方式ですが、ストロング・ハイブリッド車に分類していると思われます。つまり、ストロング・ハイブリッド車=トヨタ=スプリットハイブリッド車とは限らない、ということになります。一方で、単純に、EV走行モード(モーターのみで走行するモード)を持っていれば、ストロング・ハイブリッド車だという人もいます。

 

マイルド・ハイブリッド車(中度混合动力车/轻度混合动力车/中混车/轻混车)

モーターのみで走行できるストロング・ハイブリッド車に対して、モーターのみではまったく、あるいは、ごく限定的な距離しか走行できないHVに、マイルド・ハイブリッド車あるいはマイクロ・ハイブリッド車と呼ばれるタイプがあります。マイルド(マイクロ)ハイブリッド技術を搭載した(ハイブリッド車)車といった表現の方が多いかも知れません。
マイルド・ハイブリッド車のモーターは、エンジンが苦手とする、特に走り出しからの低速時にエンジンに”加勢”(トルクアシスト)をします。そうすることで、燃費を改善したり、有害物質の排出量を削減できます。

マイルド・ハイブリッド車の厳格な定義は不詳で、20-30Km程度は走行可能なモーターを搭載しながら、メーカー自身がマイルド・ハイブリッド車としているケースもあります。初代ホンダ・フィットが搭載しているIMAというシステムは、一般にはマイルド・ハイブリッド方式に分類されていますが、二代目になって進化を遂げており、より分類は曖昧になっている印象があります。

そんなマイルド・ハイブリッド車の、シンプルで低コストなハイブリッド車機構は、このような働きをします。

  • エンジン走行時や減速時に駆動用モーターを発電用に使ったバッテリーに充電
  • 発電した電力をバッテリーに蓄積
  • 蓄積した電力を、モーターによるエンジンへの積極的な加勢や、アイドリングストップ状態からのエンジン再始動や電装品の電力供給に利用

 

マイクロ・ハイブリッド車(弱混合动力车/微度混合动力车/弱混车/微混车)

マイクロ・ハイブリッド車では、その名(マイクロなハイブリッド車)が示すとおり、マイルド・ハイブリッド車以上に、モーターのできることは控えめになります。つまり、より控えなモーターを搭載したハイブリッド車ということになります。
最近のエンジン駆動車では、燃費と環境性能を向上させるために、停車時にエンジンを自動停止します(=アイドリングストップ)。このアイドリングストップ状態からエンジンを再点火するためには電力が必要となります。また、従来のエンジン駆動車はエンジンを停止すると、エアコンやカーナビ電装品への電力供給も止まります。マイクロ・ハイブリッドこうした時に、アイドリングストップ状態でも電力供給するための電力を減速時に発電した電力で補ったりすることもできます(これらの効果は、当然ストロング・ハイブリッド車やマイルド・ハイブリッド車でも得られます)。

  • エンジン走行時や減速時に駆動用モーターを発電用に使ったバッテリーに充電
  • 発電した電力をバッテリーに蓄積
  • 蓄積した電力を、モーターによるエンジンへの限定的な加勢や、アイドリングストップ状態からのエンジン再始動や電装品の電力供給に利用

ざっくり言うと、マイルド・ハイブリッド車-トルクアシスト、という感じですが、日産のように、S-HYBRIDのようなトルクアシストを行う場合でもマイクロ・ハイブリッド車と位置づけているメーカーもあります。(通常は)モーターのみで走行できませんし、燃費向上効果も微妙だと指摘されている場合も見受けられたりもしますが、ハイブリッド車であるための機構がシンプルかつ低コストなところが長所です。
マイルド・ハイブリッド車やマイクロ・ハイブリッド車は、メーカーによって呼称も異なっていたり、プラスアルファの工夫が施されている場合があります。また、第三者は、モーターの出力やバッテリーの容量に基づいて呼び分けていると見られます。そうしたことから区別が付きにくいことも多いと思います。

 


PHV/プラグイン・ハイブリッド車(插电式/外接充电式/可外接充电式混合动力车)

HVの駆動用モーターはバッテリーからの電力で動きますが、そのバッテリーに外部から充電できるタイプのHVをこう呼びます。一般に、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)
あるいはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)と略して呼ばれます。給油機構と外部からの充電機構を併せ持ち、エンジン駆動車でもあるが、より長距離のモーター走行(EVモード)を実現しているハイブリッド車ということになります。PHVと認められるためには(厳格には規制の種類によって異なりますが)、ある程度の距離、EVモードで走行できることが条件となるため、必要十分なサイズのバッテリーを搭載している必要があります。

2018年以降のZEV規制では、TZEV(Transitional ZEV 過渡的なZEV)と分類され、所定の条件を満たせばクレジット(=必要なノルマ)のカウント対象になります。中国では、NEV(新エネ車)として各種の優遇措置の対象となっています。2019年から実施されるNEVクレジット規制においても、所定の条件を満たせば、クレジットのカウント対象になります。

 

レンジエクステンダー(增程式电动车)

レンジエクステンダーは、単純化して説明すると、エンジンを使って走行しないPHVです。走行のための駆動力はすべてモーターで供給しますが、そのモーターに供給する電力が乏しくなると、エンジンを使ってバッテリーに充電することができます。もちろん、充電施設で直接充電することもできます。
シリーズ式ハイブリッド車同様、エンジンの利用は最小限に抑え、それもできるだけ効率のよい状態で使用するため、同じエンジンを搭載したエンジン駆動車に比べて、(エンジンの)環境性能も燃費効率もよくなるといいます。
ただし、レンジエクステンダーと認められるためには、(規制の種類によって異なりますが)ある程度の距離、EVモードで走行できることが条件となるため、(PHVである以上外部充電機構を持っていることに加えて)必要十分なサイズのバッテリーを搭載している必要があります。この点において、外部充電機構を持たず、小型のバッテリーしか搭載していないシリーズ式ハイブリッド車とも区別されます。

シリーズ式ハイブリッド車のようにバッテリーサイズが小さければ、EVモードで走行しながらガソリンを使って発電する時間が増え、(EVモードでの)走行距離は稼げますが、環境性能は低下します。そうしたこともあってか、2018年以降のZEV規制では、BEVx(range eXtended Battery Electric Vehicle)というPHVとは別の分類が与えられていて、(外部充電による走行距離が75mile(120.7km)以上であることやエンジンが所定のクリーン基準を満たしていることなど)所定の条件を満たせばクレジット(=必要なノルマ)のカウント対象になり(そうでなければ対象から外れ)ます。中国では、PHV同様、NEV(新エネ車)として各種の優遇措置の対象となっています。2019年から実施される中国のNEVクレジット規制においても、所定の条件を満たせば、クレジットのカウント対象になります。

 

 

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